「Chatbot Arena」でBardがGPT-4をしのぐ成績 ─ 新たなAIチャットボット時代の幕開け

「Chatbot Arena」は、AIチャットボットの競技プラットフォームとして、興味深い進展を見せています。本記事では、特にBardとGPT-4の対決に焦点を当て、新たなAIチャットボット時代の幕開けを探ります。

Chatbot Arenaとは?

Vicunaで有名なLMSYS Orgが提供するサービス

Chatbot Arena(チャットボット アリーナ)」は、大規模言語モデル(LLM)を含む生成AI同士が競い合うプラットフォームです。このプロジェクトは、カリフォルニア大学サンディエゴ校、カーネギーメロン大学、およびカリフォルニア大学バークレー校の学生と教員によって設立された「Large Model Systems Organization(LMSYS Org)」によって運営されています。

Chatbot Arenaでは、同じ質問に対して2つの「覆面AI」が回答し、人間がその回答を判定します。これにより、異なる生成AIモデルの性能を比較し、評価することが可能となっています。ユーザーは対話の質や回答の優劣を判定し、AIモデル同士の競技を楽しむことができます。

LMSYS Orgが運営するこのプロジェクトは、生成AIの性能評価を人間の手によって行う新しいアプローチを提供しており、AIの進化や性能向上に対するユーザーのフィードバックが重要な要素となっています。Chatbot Arenaは、AI技術の進歩と競争を促進する興味深いプラットフォームとなっています。

BardとGPT-4の競演

「Bard」と「GPT-4」の競演は、Chatbot Arenaにおいて注目される対決の一環です。記事執筆時点では、GPT-4が主流のモデルとしてリーダーシップを発揮していますが、一方でBardもその優れた成績で多くの興味を引いています。

Bardは、モデル数が圧倒的に少ないにもかかわらず、その性能でGPT-4との競演で頭角を現しています。GPT-4が大規模なパラメーター数を誇りつつも、Bardは少ないパラメーターでどれだけの質の高い回答ができるか、という点でユーザーの期待に応えています。

Chatbot Arenaにおいて、BardとGPT-4の対決は、生成AIの進化や異なるモデルの性能を評価する貴重な機会となっています。これらの競演を通じて、AIチャットボットの新たな時代の幕開けが感じられることでしょう。どちらが優れているか、ユーザーの判断に委ねられた面白い競技が繰り広げられています。

LMSYS Orgの提供するサービス

対話型チャットAIのベンチマーク番付で1位はGPT-4ベースのChatGPTで2位はClaude-v1、GoogleのPaLM  2もトップ10にランクイン - GIGAZINE

「LMSYS Org(Large Model Systems Organization)」が提供するサービスは、生成AI技術の分野で注目を集めています。特に有名なサービスの一つが「Vicuna」です。Vicunaは、7Bおよび13Bのパラメーター数を持つモデルで、ShareGPTから収集したユーザーの会話を利用してLLaMAをファインチューニングしたオープンソースのチャットボットです。

このプロジェクトでは、少ないパラメーター数にもかかわらず、ChatGPTの品質に匹敵するとされています。Vicunaは、大規模言語モデル(LLM)の一翼を担い、その性能においても多くのユーザーに支持されています。

LMSYS Orgが提供するサービスは、生成AI技術の進化に貢献するものであり、Vicunaなどのプロジェクトを通じて、高品質なチャットボットの開発や性能向上が実現されています。このようなサービスは、AI研究や開発者コミュニティにおいて重要な役割を果たしています。

Chatbot Arenaの目的

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「Chatbot Arena(チャットボット アリーナ)」の目的は、異なる生成AIモデルの性能を人間が評価し、比較することにあります。このプロジェクトは「Large Model Systems Organization(LMSYS Org)」によって運営され、以下の主な目的があります。

  1. 生成AIモデルの性能比較: Chatbot Arenaでは、様々な大規模言語モデル(LLM)が同じ質問に回答し、ユーザーがその回答を評価します。これにより、モデル同士の性能差を客観的かつ実用的な観点から把握することができます。
  2. ユーザーの評価を取り入れた進化: AIの進化はユーザーのフィードバックによってもたらされます。Chatbot Arenaでは、ユーザーが回答に対して「A is better」「B is better」「Tie」「Both are bad」といった判定を行うことで、AIモデルの向上や弱点の改善に対する情報が得られます。
  3. 人間の手による性能評価の導入: 通常のベンチマークとは異なり、Chatbot ArenaはAIの性能評価を人間が行います。これにより、生成AIモデルが実際のユーザーにとってどれほど有用であるかや、対話の質においてどれが優れているかを客観的に把握することが可能です。

Chatbot Arenaは、AI技術の進歩を促進し、ユーザーとAIモデルとの相互作用を通じて、より洗練された生成AIの開発を目指しています。

使い方

Google「Bard」vs GPT-3.5 vs GPT-4!性能を徹底比較してみた | PROMPTY

Chatbot Arenaの利用は非常に簡単です。以下に、プラットフォームの使い方をステップごとに説明します。

  1. ウェブサイトへのアクセス: Chatbot Arenaのウェブサイトにアクセスします。以下のリンクから直接アクセスできます。 Chatbot Arena
  2. モデルの選択: ウェブサイトにアクセスすると、匿名の2つの生成AIモデル(Model A、Model B)が選出され、それぞれの回答欄が左右に表示されます。
  3. 質問の入力: ユーザーは下部にある質問入力欄に質問を入力します。これに対して、同時に2つのモデルが回答を生成します。
  4. 回答の比較: Model AとModel Bが同時に回答した結果を確認できます。それぞれのモデルがどれだけ正確で自然な回答を生成できるかを比較します。
  5. 評価: 回答の下には「A is better」「B is better」「Tie」「Both are bad」といった4つの判定ボタンが表示されます。ユーザーはどちらが優れているかを判断し、対応するボタンを押して評価を行います。

使い方は以上のステップで完了です。Chatbot Arenaを通じて、異なる生成AIモデルの性能を直感的に評価し、AI技術の進化を見極めることができます。

[Chatbot Arena](https://chat.lmsys.org/?arena)

 

AIによる計算問題の挑戦

Chatbot Arenaでは、AIによる計算問題への挑戦が行われています。ユーザーが提示した計算問題に対して、異なる生成AIモデルがどれだけ的確な回答ができるかが評価されます。以下に、具体的な計算問題例とそのAIモデルの回答を示します。

質問例1

次の例に従ってある商店で買い物をした際の割引後の請求金額を求めてください。

Q: 122円のりんご2個と181円のみかん3個を購入したときの割引後の請求金額

  • A: 122円のリンゴ×2個=244円 181円のみかん×3個=543円 割引前の合計金額=787円 割引額:10円未満の端数=mod(787,10)=7円 割引後の請求金額:787円-7円=780円

Q: 215円のチョコレートと118円のジュース3本を購入したときの割引後の請求金額

  • A: 215円のチョコレート×1個=215円 118円のジュース×3個=354円 割引前の合計金額=569円 割引額:10円未満の端数=mod(569,10)=9円 割引後の請求金額:569円-9円=560円

Q: 323円のボールペン3本と88円の消しゴム1個を購入したときの割引後の請求金額

  • A: ちなみに、ChatGPT(GPT-3.5)では、以下のように割引額の計算方法を「10円未満の端数」と計算式(質問例1の最後から2行目にあるExcelのmod関数)を示さずに質問しても、多くの場合、正確に回答できる。

質問例2(GPT-3.5向け)

次の例に従ってある商店で買い物をした際の割引後の請求金額を求めてください。

Q: 122円のりんご2個と181円のみかん3個を購入したときの割引後の請求金額

  • A: 122円のリンゴ×2個=244円 181円のみかん×3個=543円 割引前の合計金額=787円 割引額:10円未満の端数=7円 割引後の請求金額:787円-7円=780円

Q: 215円のチョコレートと118円のジュース3本を購入したときの割引後の請求金額

  • A: 215円のチョコレート×1個=215円 118円のジュース×3個=354円 割引前の合計金額=569円 割引額:10円未満の端数=9円 割引後の請求金額:569円-9円=560円

Q: 323円のボールペン3本と88円の消しゴム1個を購入したときの割引後の請求金額

  • A: GPT-3.5は計算方法を指定しなくても回答可能

質問例3(GPT-4向け)

次の例から、ある商店の割引額の計算方法を推測して請求金額を計算してください。

Q: 122円のりんご2個と181円のみかん3個を購入したときの割引後の請求金額

  • A: 122円のリンゴ×2個=244円 181円のみかん×3個=543円 割引前の合計金額=787円 割引額:7円 割引後の請求金額:787円-7円=780円

Q: 323円のボールペン3本と88円の消しゴム1個を購入したときの割引後の請求金額

  • A: GPT-4は例が1つで、計算方法を提示されなくても割引方法を推定して回答する

これらの質問例を通じて、AIモデルの計算問題への対応やその正確性など、異なるモデルの特性を観察できます。

質問例1

ある商店で買い物をした際の割引後の請求金額を求める計算問題です。ユーザーが提示した質問に対して、GPT-3.5やGPT-4がどれだけ正確に回答できるかが試されます。

AIの進化と評価

AIの進化と評価は、Chatbot Arenaのようなプロジェクトを通じて重要な役割を果たしています。以下に、AIの進化と評価について詳しく説明します。

AIの進化

AIの進化は主に以下の要因によって推進されます。

  1. モデルの改善: 新しいモデルの開発や既存モデルの改善により、AIの性能が向上します。例えば、GPT-3からGPT-4への進化は、より高度で洗練された言語理解と生成をもたらしています。
  2. トレーニングデータの多様性: 多岐にわたるトレーニングデータを使用することで、AIは様々なドメインやトピックに対応し、より柔軟な知識を獲得します。
  3. アルゴリズムの改善: 学習アルゴリズムやモデルのアーキテクチャの改良により、AIは効率的に学習し、より複雑なタスクに対応できるようになります。

評価の重要性

AIの評価は、その進化を測定し、ユーザーエクスペリエンスを向上させるために不可欠です。

  1. 性能の客観的評価: Chatbot Arenaでは、ユーザーが生成された回答を評価することで、異なるAIモデルの性能を客観的に比較できます。これにより、どのモデルが特定のタスクにおいて優れているかが把握されます。
  2. 弱点の発見: ユーザーの評価を通じて、AIモデルの弱点や改善の余地が見つかります。これにより、開発者はモデルをさらに洗練させ、不備を補完することができます。
  3. ユーザーフィードバックの統合: ユーザーの評価は、AIの改善に直結します。ユーザーフィードバックを取り入れることで、AIは現実のニーズに合致し、ユーザー満足度を向上させることが可能です。

Chatbot Arenaのようなプラットフォームは、AI技術の進歩とユーザーとの密接な連携を促進し、新たな課題への対応や性能向上に寄与しています。

結論

結論として、Chatbot ArenaはAI技術の進化と評価において重要な役割を果たしています。このプロジェクトは異なる生成AIモデルの性能を比較し、ユーザーの評価を通じてAIの進化を促進しています。GPT-4やBardなどのモデルが匿名で競演し、計算問題に挑戦する様子は、AIチャットボットの新しい時代の始まりを象徴しています。

AIの進化には、モデルの改善、トレーニングデータの多様性、アルゴリズムの改善が寄与しています。そして、Chatbot Arenaを通じたユーザーの評価は、AIの性能向上に寄与するだけでなく、ユーザーエクスペリエンスを向上させ、弱点を克服する手助けとなっています。

AIの発展は、継続的なユーザーフィードバックと共に進んでいます。Chatbot Arenaのようなプロジェクトは、AI技術の未来を切り開く一翼を担っており、人間とAIの相互作用を深め、より洗練された生成AIの実現を目指しています。 Chatbot Arenaは、新たな時代の幕開けを感じさせ、AI技術の発展に期待を寄せるものです。

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